2006年4月1日に麻酔科・救急救命センターといった各科から独立した「集中治療部」として発足しました。旧大阪市立大学大学院医学研究科病態診断・生体機能管理医学大講座麻酔・集中治療医学より西信一主任教授が赴任し、初代診療部長となり活動していました。そして、西診療部長の退官にあたり、2021年7月1日より竹田健太准教授が2代目診療部長となりました。

発足当初より、完全型closed型ICUで運営し、365日24時間専従医が治療業務についています。2013年3月18日に現在の急性医療総合センターの3階に移転しました。移転前は、1号館4階(現在の医療人育成センターシミュレーションセンター①)に10床で運営していました。移転後は、14床に増床し、日々の診療にあたっています。

外科系術後症例を中心に集中治療管理を行っておりますが、院内発症した内科、あるいは、小児科の重症症例も入室しています。ここ数年の年間管理は、1000症例を超えるようになり、年々症例数の増加と重症度が上がっています。管理内容は、循環、呼吸、栄養管理、敗血症・敗血症性ショックを伴う重症感染症の血液浄化療法も積極的に行っています。また、集中治療部では、チーム医療を実践しています。主治医チームを含め、看護師、薬剤師、臨床工学技士、理学療法士との連携を行っており、ベッドサイドでの多職種による回診も行っています。そして、2014年には特定集中治療室管理料Ⅰ加算のとれる施設として認定されました。

病院の中央診療部門だけでなく、大学の専門部門(臨床医学系学科目)「集中治療医学」として認められています。

集中治療医学とは、「急性で生命を脅かす臓器障害を持つ患者、又はその危険性のある患者の包括的な管理に特化した、分野横断的な専門分野」であると定義されています。具体的には、内科系・外科系講座のように臓器に特化した病態を扱うのではなく、全身状態に影響が及ぼされた病態(外科手術症例の術後管理や敗血症といった疾患)を扱います。全身状態の把握を行いながら、障害を起こした原因を治療し、さらに、体の働きをサポートしながら、全身状態の改善を行っていきます。

集中治療医学では、人工呼吸療法、補助循環療法、血液浄化療法、臨床薬理学といった様々な領域の集合体の学問となります。そういった学問の中で、現在、特に、①重症患者の鎮痛・鎮静の研究(患者の予後およびICU入室期間を改善に関する研究)➁周術期βブロッカー使用の研究(不整脈に対する研究)➂持続血液浄化療法中の薬物血中濃度シミュレーションの研究(特に集中治療では抗菌薬の使用頻度が高く、その抗菌薬の薬物動態/薬力学を考慮した適切な投与方法の研究)などを行っています。

日本全国でも「集中治療医学」単独の学科目は例をみず、集中治療医学を志す次の世代の方々に集まっていただくことを切に願っています。